親知らずという歯がある。
私は自分のこの歯に、恩知らずという諡号を与えることにした。
生え始めの頃は23,4くらいだっただろうか。えらい遅いなぁという印象があった。
みっともない話だが、私はこれまでとてもまめに歯磨きをするタイプではなかったので、新しい歯が生えたときはわくわくしたものだった。
よし、きれいに保ってやろうと心に決めた。親知らずは虫歯になりやすいと聞いたので、いつもの歯磨きでも、親知らずに3割ほどの時間を割いた。
にもかかわらず、先月なんとなく歯を覗いた私は衝撃を受けた。なんと、黒くなっているではないか!そんな馬鹿な!
きっと気のせいだと思ったので、みなかったことにした。うん。もともとこんな色だったはずだ。
1週間もすると、痛みが走った。あぁ、これが虫歯か… 歯ってこんなに痛いんですね…
ということで抜歯することになった。
誰に聞いてもぼっこりはれるとしかいわないので、不安全開で大学病院へ。
以下、歯の治療を受けながら考えたこと。
親知らずの抜歯は、まるで土木工事のようであった。二人がかりであごを押さえつけ、押したり引いたり…
麻酔が効いているので痛くはないのだが、あぁ、これは腫れるな…としみじみ思ったりもした。
顔は緑の布で覆われているので、目のやりどころもなく。
あぁ、消毒の布が引っかかるからひげをそっておけばよかったなぁとか、昼にチキンカツ食べとけばよかったかなぁとか、くだらないことを考えていた。
そんな中で学びがあった。
やることが決まってからの行動の速さ、徹底の大切さである。決断は安心につながる。
抜くと決まってからの、何としても抜いてやろうというその意志の強さと、とにかく早く抜いてやろうという行動の素早さには、一瞬のぶれもなかったように思われた。
これは非常な安心感をもたらした。
抜歯にかかった費用
事前の検査 5000円くらい
手術? 1880円
薬代 560円
最後にめちゃくちゃ腫れたら面白いなと思って写真を撮っていたのだが、ほとんど腫れなかったので没になったあごの写真を載せます。
上から、抜く前→直後→二日後